秋田県仙北市角館町の名物として愛され続ける「醤油そふと」。一見すると意外な組み合わせに思える醤油とソフトクリームですが、その誕生には地域への深い愛情と、お菓子作りへの情熱が込められています。今回は、安藤醸造様との協力により生まれたこの独特な商品の開発ストーリーをご紹介します。
1996年、「醤油そふと」の開発がスタートしました。きっかけは、弊社会長が安藤醸造様より「醤油を使用したお菓子を開発してほしい」とのご依頼をいただいたことでした。安藤醸造様は、享保6年(1721年)創業という長い歴史を持つ老舗醤油蔵。伝統的な醤油造りの技術を守り続けながらも、新しい可能性を模索されていました。一方、弊社も地域に根ざした菓子製造業として、何か新しい挑戦ができないかと考えていた時期でもありました。
醤油を使ったお菓子といっても、様々な可能性がありました。その中でソフトクリームという形に辿り着いた理由は、角館という観光地の特性を考慮してのことでした。
角館は「みちのくの小京都」と呼ばれ、武家屋敷群や桜並木で有名な観光地です。そこを訪れる観光客の皆様にとって、分かりやすく、歩きながらでも手軽に楽しめる商品を作りたい――そんな想いがありました。
また、当時すでに県外では「味噌ソフト」が販売されており、同じ発酵調味料である醤油でも面白い商品ができるのではないかという発想も後押ししました。
開発には約1年という長い期間を要しました。最も苦労したのは、醤油の配合量の調整でした。醤油は塩分が強く、独特の風味を持つ調味料です。少なすぎれば醤油の特徴が活かされず、多すぎれば塩辛くて食べられません。さらに、ソフトクリームとしての滑らかな口当たりや甘さとのバランスも重要でした。。
何度も試作を重ね、配合を微調整し、試食を繰り返しました。安藤醸造様の醤油の特徴を最大限に活かしながら、デザートとしても美味しく召し上がっていただける絶妙な配合を見つけ出すまでには、相当な努力と時間が必要でした。
ついに完成した「醤油そふと」でしたが、発売当初の反応は決して順風満帆ではありませんでした。当時の一般的なソフトクリームといえば、バニラや抹茶、チョコレートなどが主流。醤油という発想はあまりにも斬新すぎて、多くの方に敬遠されてしまったのです。
「醤油のソフトクリーム?本当に美味しいの?」「甘いものに醤油なんて…」そんな声も少なくありませんでした。
しかし、勇気を出して試していただいた方々の反応は想像以上でした。醤油の塩気が甘さを引き立て、意外なほど上品で深みのある味わいに驚かれる方が続出。そうしたお客様の口コミが徐々に広がっていきました。
「騙されたと思って食べてみたら、本当に美味しかった!」
「醤油の風味がアクセントになって、後を引く味」
「角館に来たら絶対に食べるべき!」
こうした評判が評判を呼び、「醤油そふと」は角館の新しい名物として定着していきました。最盛期には1日最高2,800本を売り上げる大ヒット商品となり、多くの観光客の皆様に愛される商品となったのです。
「醤油そふと」の成功は、伝統ある安藤醸造様の醤油と、新しいアイデアへの挑戦が見事に融合した結果でした。最初は「変わった商品」として見られていたものが、今では角館を代表する味として親しまれています。
この商品を通じて、私たちは「伝統を大切にしながらも、新しい可能性に挑戦することの大切さ」を学びました。地域の素晴らしい素材を活かし、お客様に喜んでいただける商品を作り続けていく――それが私たちの使命だと改めて感じています。
角館にお越しの際は、ぜひ一度「醤油そふと」をお試しください。きっと、その意外な美味しさに驚かれることでしょう。
ご自宅でご賞味いただける
醤油あいすもございます。